学生時代は主に固体における超高速現象の理解に興味があり、実験的にアプローチをする研究に従事していた。手がけることができたのは光励起電子の緩和ダイナミクスに関する研究と、量子井戸におけるテラヘルツ弾性波の光励起・光検出に関わる研究、表面微細構造における弾性表面波の時間空間可視化に関する研究である。
民間企業での研究開発については述べられないが、計測の高度化高精度化の開発に従事し、計測装置開発の一翼を担うことができた期間であった。毎年多くの方々にご迷惑をおかけいたしましたが、短い期間に様々な研究開発に従事することができました。多くの事を学び大変よい経験を積ませていただけた時期でした。大変感謝しております。
所属研究室においては共同で顕微磁気計測とテラヘルツ波応用計測に従事した。サブミクロン分解能での磁化分布の可視化を通じた磁気光学の新しい展開と素子への応用を視野に入れた基礎研究を開始した。テラヘルツ波応用計測では、電荷結合素子を用いたリアルタイムテラヘルツ電場ベクトル計測の開発に加わるなど、手がける技術分野を広げてきた。
東海大学では自身の運営する研究室を立ち上げている。研究室では主に、プローブ顕微鏡を用いた高精度計測の研究と開発を進めている。ナノメートルの空間で繰り広げられる現象を、光を用いて非破壊・非接触・非侵襲で計測することを目指している。まずは計測方法を確立すことを目指した研究開発を行い、その後、物性計測へ展開していく計画で進めている。
長年従事してきた先端光計測の技術を活かし、より世のため人のために役に立つ技術開発と科学を展開したいと考えている。現状では高分解能光学顕微鏡と画像処理技術を活かしたいと考えている。
目指すのは光+ナノ+超高速の融合する領域!すなわち、ナノスケールの極微の世界で繰り広げられるダイナミカルな現象を、光を用いることで非接触・非破壊・非侵襲的手段により計測・可視化すること。 そのためには光計測を極め、より精度よく情報を取得できる手段を確立できることが必要で、日々そのために頭を使っている。もちろん、新しい計測を創出するには、現在までに人類が獲得した光学や物理・化学の知識はもとより、機械や電気電子の知識を学び自らの血肉とすることが必要不可欠である。また、計測対象についても精通していなければならない。すなわち、計測によって獲得された情報が何を教えてくれているかを筋道たてて説明ができるようにならなけらばならなず、現在までに人類が知り得た知見を丹念に学ぶことによってのみ達成されるので、日々是精進している。